京急の羽田空港駅の割増運賃ってどうよ？

空港線の割増運賃

建設費を回収するためという建前のもとに、京急(京浜急行)の羽田空港発着の乗車券には割増運賃が含まれています。具体的には、羽田空港発着の場合は乗車する区間の距離から求めた運賃に170円を加算することとなっています。しかし、空港線(京急蒲田-羽田空港)内のみ乗車の場合は170円の加算よりも安くなる特定運賃が設定されています。例えば、羽田空港-天空橋(羽田空港の1つ手前の駅)の運賃は150円となっています。「羽田空港発着の場合は170円割増」でも「羽田空港-天空橋は150円」。なんだか変な感じがしませんか？

その結果、以下のように、わざわざ天空橋でいったん降りると20円安くなります。

品川-羽田空港(14.5km): 400円
品川-天空橋(11.2km): 230円
天空橋-羽田空港(3.3km): 150円

どういう経緯でこのような設定になったのかはわかりませんが、「この区間の建設費を回収するために、この区間を通る乗客は170円を追加で払え、ゴルァ！」という趣旨であれば、「羽田空港-天空橋は150円」というのはつじつまが合いません。始めに「品川から400円」という結論ありき、「品川から400円」なら東京モノレールに勝てる、間違いない！(でも何かの意図で「羽田空港-天空橋」は安くしないといけない)で加算運賃を決めたのでは？と推測します。

無言で抗議？

あれ？「品川-羽田空港」なら400円で、「品川-天空橋」と「天空橋-羽田空港」の合計は380円？　JRならときどきある分割購入すると安くなるパターンがここにもありました。と、いうことで、この運賃体系に不満のある方はどんどん分割購入をして、京急に無言で抗議しましょう。一旦降りるのはめんどくさいという方には次の方法があります。

よく乗られる方には回数券をおすすめします。京急の回数券は区間の両端の駅(「品川-天空橋」は品川駅と天空橋駅、「天空橋-羽田空港」は天空橋駅と羽田空港駅)の自動券売機で購入することができます。一度買ってしまえば毎回天空橋駅で降りる必要はありません。分割購入によるメリット(20円引き)と回数券によるメリット(11-14枚で10枚分の運賃)の両方を同時に得ることができます。
「品川-天空橋」「天空橋-羽田空港」のいずれかの区間が定期券・回数券で、もう一方が普通乗車券や精算の場合でも分割購入によるメリットを得ることができます。これは定期券・回数券の場合は乗り越した区間の普通運賃が精算額となるため、結果的に分割購入と同じことになるためです。

「品川-羽田空港」以外でもおそらく、京浜急行の全ての駅について「各駅-天空橋」「天空橋-羽田空港」と分割購入をすると安くなります。これは、 170円の加算運賃などのせいで「各駅-天空橋」の運賃は「各駅(天空橋駅を除く)-羽田空港」の運賃よりも必ず170円(またはそれ以上)安くなっているため、「羽田空港-天空橋」の150円を別払いしても、合計では分割購入のほうが安くなるわけです。

京浜急行主要駅～羽田空港の運賃
区間	普通に購入した場合	分割購入した場合
羽田空港-穴守稲荷～糀谷の各駅 (3.9～5.4km)	300円	280円
羽田空港-京急蒲田 (6.5km)	330円	300円
羽田空港-品川 (14.5km)	400円	380円
羽田空港-泉岳寺 (15.7km)	440円	380円
羽田空港-京急川崎 (10.3km)	400円	340円
羽田空港-横浜 (20.7km)	470円	420円
羽田空港-上大岡 (29.3km)	520円	500円
羽田空港-金沢文庫 (38.0km)	640円	560円
羽田空港-横須賀中央 (48.4km)	790円	770円
羽田空港-浦賀 (54.0km)	860円	840円
羽田空港-京急久里浜 (55.3km)	930円	840円
羽田空港-三崎口 (64.2km)	1,000円	980円

なお、都営地下鉄や京成から通しで羽田空港まで乗車・あるいは羽田空港から都営地下鉄や京成へ通しで乗車の場合は、天空橋で分割するメリットはありません。これは、泉岳寺-羽田空港は440円のところ天空橋で分割すると380円(230円+150円)になりますが、分割することにより空港特殊割引 (60円・成田空港からの場合は90円)の対象外となるためです。

都営地下鉄・京成主要駅～羽田空港の運賃
区間	普通に購入した場合	分割購入した場合
羽田空港-新橋	550円	550円
羽田空港-東銀座・日本橋	590円	590円
羽田空港-浅草・押上	640円	640円
羽田空港-青砥・京成高砂	820円	820円
羽田空港-京成八幡	890円	890円
羽田空港-京成船橋	950円	950円
羽田空港-東成田(空港第2ビル駅まで徒歩10分)	1,520円	1,520円
羽田空港-空港第2ビル・成田空港	1,560円	1,590円

FAQ(よくある質問)

天空橋駅で降車して回数券や乗車券を買い直すのがめんどくさいのですが。 - 現時点では解決策はありません。
2枚のきっぷをどう自動改札機に入れたらいいかわかりません - 次の通りです。
- 品川→羽田空港の場合
  - 品川駅での乗車時には「品川-天空橋」のきっぷを自動改札機に投入します。
  - 羽田空港駅での降車時には、2枚投入対応の自動改札機に「品川-天空橋」「天空橋-羽田空港」の2枚のきっぷを重ねて投入します。あるいは精算機を使って精算することも可能です。 (その場合、精算機で「品川-天空橋」のきっぷを投入→「天空橋-羽田空港」を投入→出場証(精算済証明書)を受け取る→それで自動改札機を通過という手順になります。)
- 羽田空港→品川の場合
  - 羽田空港駅での乗車時には「羽田空港-天空橋」のきっぷを自動改札機に投入します。
  - 品川での降車時には、2枚投入対応の自動改札機に「羽田空港-天空橋」「天空橋-品川」の2枚のきっぷを重ねて投入します。
  - JRへの連絡改札口からJRに乗り継ぐ場合、自動改札機に京急の乗車券を2枚投入することはできないようです。また、連絡改札口横の精算機では、回数券の乗り越しを現金やパスネットで精算することは可能ですが、回数券の乗り越しを回数券で精算することはできないようです。したがって、連絡改札口ではない改札口前の精算機で精算して、出場証(精算済証明書)とJRのきっぷで連絡改札口を通過することになります。
なんで京急はこんなめんどくさいことをさせるのですか？ - 京急は文句を言わずに400円で乗れ！と運賃表で言っていますｗ
回数券をバラ売りしているところはありませんか？ - 「品川-羽田空港」の回数券を扱っている金券ショップはあるようです。新宿西口の某金券ショップでは普通回数券1枚380円、時差回数券1枚360円、土休回数券1枚330円で売っていました。また、新橋の某金券ショップでも売られていました。ある金券ショップでは「泉岳寺(品川)-天空橋」「天空橋-羽田空港」をセットで310円で売っていましたが、継続的に取り扱っているかは不明です。京急のぼったくり阻止のためにの定番商品として扱ってもらいたいものです。(扱っていただけるお店はお知らせいただければこのページで紹介させていただきます。)

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